『ハイキュー!!』は古舘春一さんによる高校バレーを題材とした漫画作品で、TVアニメ化されています。
日本での人気もさることながら、TVアニメは海外でも英語字幕/英語吹き替えされたものが流通しており、海外でも非常に人気の高い作品となっています。
Youtubeで「haikyuu reaction」と検索すると、感情豊かにアニメ本編を楽しむ海外ファンの動画をたくさん目にすることができます。
今回はこの作品の第一期の北米版『Haikyu!! Season1』が英語学習に向いているのか、実際に購入して視聴した私の感想をもとに解説します。
また、英語学習目的だけでなく、単なる視聴目的で購入を検討している方にとっても、参考となるはずです。
作品概要
『ハイキュー!!』は、古舘春一さんによる高校バレーを題材とした漫画作品です。
英語では『Haikyu!!』と表記されています。
漫画は週刊少年ジャンプにて2012年2月から2020年7月まで連載されて完結しました。単行本は全45巻となっています。
また、TVアニメは現在第4期まで制作されています。さらにOVA(TVなどで放送されずDVDやBlu-rayでのみ視聴することができる作品)も発売されています。
以下にTVシリーズ一覧を掲載します。
第1期 | ハイキュー!! | 25話 |
---|---|---|
第2期 | ハイキュー!! セカンドシーズン | 25話 |
第3期 | ハイキュー!! 烏野高校 VS 白鳥沢学園高校 | 10話 |
第4期 | ハイキュー!! TO THE TOP | 25話 |
TVシリーズはまだ完結していません。
人気作品なため、おそらく最後までアニメ化されるだろうとは思います。
主人公である日向翔陽は低身長ですが、ある日偶然見た春高バレーで自分と同じく低身長でありながら活躍する「小さな巨人」と呼ばれる烏野高校のエースに憧れてバレーを始めました。
高校に上がり、かつて「小さな巨人」が在籍した烏野高校に入学した日向ですが、現在の烏野高校はかつての強豪校とは違い、優れた成績を残すことができない落ちぶれた高校となっていました。
さらに、自分が中学時代にコテンパにされライバル視していた天才セッター「影山飛雄」も同じ烏野高校バレー部に入部していることがわかります。
低身長ながら優れた反射神経とジャンプ力を持つ日向、圧倒的センスを持つ影山、しかし反りの合わない二人は協力して同じチームとして全国大会を目指すことになります。
製品概要
まずは製品の概要について紹介します。
北米版はBlu-ray版のみ発売されており、第1期であるSeason1は全1巻の構成になっており、全25話が収録されています。
2022年6月現在では、北米版は第4期まで発売されています。
原作である漫画の大エンディングまでは、まだ日本でもアニメ化されていません(2022年6月現在)。おそらく第5期もアニメ化されると思いますが、北米版も同じように発売されることでしょう。
(追記:2022年8月にTVアニメ5期+劇場版2部作の制作が決定しました!今のところ放送日は未定です。)
日本語オリジナル音声、英語音声、英語字幕が収録されています。
制作 | Sentai Filmworks |
---|---|
媒体 | Blu-ray |
全巻数 | シーズン1は全1巻 |
ディスク枚数 | 3枚 |
話数 | シーズン1:全25話 |
総収録時間 | 625分 |
音声 | 英語 日本語 |
字幕 | 英語字幕1種類 |
画質 | 1080p / 16×9 |
特典 | クレジットなしOP/ED トレイラー |
実際に私が購入した商品をもとに紹介します。
商品の表パッケージです。

裏パッケージです。

1つのケースに3枚のディスクが収納できるようになっています。


以下のように、ケースの中にディスクのマウントが蝶番で留められており、本のようにめくることができるようになっています。

以下がメニュー画面です。非常にシンプルです。

言語選択は以下画像のようになっています。

- 英語音声
- 日本語音声&英語字幕
以上が利用できます。
なお、プレイヤーによっては英語音声時に英語字幕を表示することができません。
私が持っている「AnyMP4 Blu-ray Player」と「Leawo Blu-rayプレイヤー」では、英語音声時に英語字幕を表示することができました。
Leawo Blu-rayプレイヤーは無料(2022年6月時点)で使うことができますので、もしお使いのソフトがダメだった場合は試してみてください。
ディスク3には特典が収録されています。
クレジットなしOP/ED、他作品の紹介映像などです。

以下がSentai Filmworksの公式トレイラーです。
残念ながら英語キャストが喋っているところは収録されていませんが……作品の雰囲気が気になる方は参考にご覧になってみてください。
日本版との価格比較
北米版のアニメは、日本版と比べると非常にリーズナブルな価格設定になっています。
全巻購入した時に、日本版と北米版でどのくらい価格が異なるかを比較してみます。
日本版はAmazonで1巻目の初回仕様版の価格を参考にしました。

私が見たとき(2022年6月現在)は47%オフの値段で販売していました。こちらの値段は増減はあるかもしれませんが、「現在入手できる価格でどのくらい差があるか」を調べるため、こちらの値段を使用してみます。
また、実際は各巻で微妙に値段の増減がありますが、今回は一律で考えています。
日本版:3980円x全9巻=35820円
北米版はAmazonの最安値をもとに計算しました。
北米版:5980円
なんと29840円引き(約83%オフ)の価格で購入することができるのです。
ただ、日本版はブックレットなど特典が多くついているので、単純に比較はできないと思いますが、作品だけ見られれば良いという方は北米版を購入したほうが断然お得です。
英語学習での使用に関して
まずは独断と偏見で項目ごとに点数をつけてみました。
それぞれ10点満点で評価しており、点数が高いほどおすすめとなっています。
翻訳センスと表現の豊富さ | 7/10 |
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語彙の分かりやすさ | 7/10 |
日常会話への応用のしやすさ | 8/10 |
発音の分かりやすさと演技力 | 7/10 |
英語音声と英語字幕のマッチ度 | 3/10 |
内容の面白さ | 10/10 |
TOEIC目安 700点〜
難易度としては中級程度なのではないかと思います。
しかし、だからといって初心者の方でも諦めないで頂きたいと思います。
ハイキュー!!が大好きという方なら是非挑戦してみてください。
英語は繰り返し学習が必要な学問です。一度聞いて分からないのは当たり前で、何度も何度も繰り返し聞くことで力が伸びていきます。
そういった中で、作品が大好きというのは大きな原動力となります。
以下から個別の項目について詳しく見ていきます。
翻訳センスと表現の豊富さ
「翻訳センスと表現の豊富さ」では10点満点中7点をつけました。
翻訳に関しては無難で一般的な翻訳になっているように感じました。
(参考までに、翻訳センスが高かった作品は『幽遊白書』や『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』などです。
私はバレーボール経験者でないので詳しくはないのですが、バレーボール用語に関しても、英語圏でも伝わるように概ね適切に翻訳されているようです。
というのも、日本で使われるバレーボール用語は、それがカタカタ用語でも英語圏で伝わるとは限らないものが多いからです。いわゆるカタカナ英語というやつですね。
例えば以下のようなものです。
ツーアタック:setter attack (setter dump)
パイプ:back attack (back row attack)
スタメン:starting lineup
ただ、中には翻訳上やや不正確なものもあるので注意が必要です。
例えば『チャンスボール』という言葉です。
日本語で「チャンスボール」と言っているところが、英語版ではそのまま「chance ball」と翻訳されている場面があります。
厳密に言えばchance ballでも間違いはないようなのですが、英語圏のバレーボール界で一般的に使われるのはfree ballという言葉らしいです。
また、他には『エース』という言葉です。
作中ではよく「エース」という言葉が出てきます。現実の日本のバレーボールにおいても、チームの中で一番得点を上げられる選手のことをエースと呼び、多くは技量とパワーを持ったスパイカーがそう呼ばれます。
北米版においても、「エース」はそのまま「ace」という単語に翻訳されていますが、海外のバレーボール経験者の間では最初混乱しているようでした。
なぜなら、海外ではaceという役割は存在しないからです。
海外でバレーボールにおけるaceという時、それは通常は「サービスエース」のことを指します。
サーブをして、相手チームが返せなくて得点が入った場合、それをaceと呼びます。
(参考:What Does ‘Ace’ Mean In Volleyball?)
日本語で言う「エース」を海外で言う場合には、the most offensive player/hitterなどと言うようです。
ハイキューにおいては、この「エース」という言葉が重要なキーワードになっているように思います。なので、北米版ではあえてそのままaceという単語を使っているのでしょう。
もし海外で使う際には通じないことがあると認識しておきましょう。
語彙の分かりやすさ
「語彙の分かりやすさ」では、10点満点中7点をつけました。
作品の舞台が現代の高校の部活動であり、登場人物たちも普通の高校生であるため、日常的な語彙が多いです。
馴染みのない言葉が出るとしたら、バレーボールに関する用語が出る場面でしょう。しかし、用語や役割についても作中でしっかりと説明してくれるので理解することができると思います。
ただし、ハイキュー!!ではバレーの作戦やキャラクターの行動分析がよく考えられています。
このため、そのような作戦を解説する場面ではやや難易度の高い単語も出てきます。加えてそういった場面では、流れるように早く説明されるので聞き取りが大変です。
私もそういった場面では巻き戻して何度か聞き返しました。
日常会話への応用のしやすさ
「日常会話への応用のしやすさ」では8点をつけました。
日常会話への応用度は非常に高いと思います。
題材が高校バレーということなので、部活動でよく繰り広げられる会話が多いです。
また、バレーというスポーツの性質上、チームワークを大事とします。このため、お互いにコミュニケーションを図り声を掛け合うので参考にできるものが多く登場します。
さらに、スポーツ作品のため、スポーツに関する表現を多く学ぶことができます。
たとえば「サーブをしくじる」と表現する時、failという単語を使うこともできますが、私が学んだのはflubという単語です。
ハイキュー!!24話
I can’t believe Oikawa flubbed a serve.
flubというのは「しくじる、へまをする」という意味の動詞です。難易度の高い単語ですが、このような単語もアニメを通して見ることで記憶に残すことができます。
以下の記事では、ハイキュー!!に登場したスポーツに関連した表現を紹介しています。
スポーツに取り組んでいる人は特に多くのことを学ぶことができる作品でしょう。


発音の分かりやすさと演技力
「発音の分かりやすさと演技力」では10点満点中7点をつけました。
以下に英語吹き替え音声を聞くことができる公式の動画を掲載しておきます。
残念ながらSeason 1の動画がなかったので、Seson 2の動画なのですが、ネタバレにはなっていないはずです。
日向、影山のキャストはSeason 1と一緒なので雰囲気を掴むことができるでしょう。
もしかすると日本語版ですでに視聴した方は、英語版のキャストの声に違和感を感じるかもしれませんが、聞いていたら馴れます(笑)
私は英語吹き替え音声を先に聞いて視聴したので、むしろ日本語のキャストの声にちょっと違和感を感じるくらいです。
英語音声と英語字幕のマッチ度
「英語音声と英語字幕のマッチ度」では3点をつけました。
英語版のアニメに詳しくない方のために説明しておきますと、英語版のアニメでは英語吹替音声と英語字幕が合っていないことがよくあります。
一般的に、英語字幕のほうが日本語セリフを忠実に翻訳したものが多く、英語吹替音声のほうは映像の尺やテンポの都合でやや改変された内容となっているものが多いです。
改変されているとはいっても、セリフの内容はほとんど同じで、言い回しが変わっているというだけです。
作品によって、英語吹替音声と英語字幕が大きく異なっているものや、少しだけ変わっているものがあります。中には、完全に一致しているものもあり、これはCC字幕(Closed Captioning)と呼ばれます。
さて、ハイキュー!!の場合は3点をつけましたが、これはつまり英語吹替音声と英語字幕のマッチ度が低いということです。ハイキュー!!を英語学習として使用する上での、唯一の欠点はここです。
以下に例を示してみます。
物語の始まり、第1話の冒頭のシーンです。

日本語セリフ
目の前に立ちはだかる高い高い壁。
その向こうはどんな眺めだろうか?
どんなふうに見えるのだろうか?
頂の景色…
俺一人では決して見ることのできない景色。
でも、一人ではないのなら…
英語字幕
A high, high wall stands in front of me, blocking my way.
I wonder what the view is like on the other side?
What does it look like?
The view from the summit…
It’s a view I will never be able to see alone.
But if I’m not alone…
英語吹き替え音声
There is a enormous wall in front of me, blocking my way.
I can only wonder what’s on the other side.
What does it look like?
Is it the view… from the summit?
I will never be able to see at on my own.
But if I have others on my side…
1文目では、英語字幕ではhigh wallと言っているところが、英語吹き替え音声ではenormous(巨大な、莫大な)wallという単語に置き換わっています。
2文目では、英語字幕では
I wonder what the view is like on the other side?(反対側の景色はどんなものだろうか?)
と表現しているのに対し、吹き替え音声では
I can only wonder what’s on the other side.(俺は反対側に何があるか好奇心を持つことだけできる)
と表現しています。表現の仕方に違いはあれど、言っている内容は一緒ですね。
このように両者には微妙に違いがありますので、英語音声で視聴していて聞き取れなかった場合に英語字幕を参考にしようと思っても、そもそも言っている単語が違うことがあるので参考にできないことがあります。
上記の例では、enormousという単語を全く知らない人が聞くと、聞き取るのに苦労するかもしれません。
そういった聞き取れない単語に遭遇した場合には、再生速度を落として聞いてみるか、Google翻訳の音声入力を使用するなど工夫してみましょう。
ただ、ハイキュー!!の場合には比較的わかりやすい語彙が使われているので、集中して聞けば多くは聞き取れるのではないかと思います。
また、個人的にはすべてを無理して聞き取る必要もないと思います。
英語の会話に耳を慣らすことを意識し、自分が気になった単語や表現のみメモして視聴していくと良いでしょう。
楽しみながら勉強するのが一番大事ですからね!
内容の面白さ
「内容の面白さ」では10点満点をつけました!
個人的な感想になりますが、私はあまりスポーツが好きではありません。
見ることも、することも好きではありません(笑)
そんな私でも、大ハマリしました!
正直、ここ数年で一番熱くなった作品です。
誰しも欠点や弱みがあります。そしてそんな壁に阻まれることがあります。
そんな時、バレーという、仲間の協力なくして成り立たないスポーツを通して、お互いの弱みをカバーしあうことで、自分は一人で戦っているわけではないと気づくのです。
そして、一人ではたどり着くことができない景色を見ることができるのです。
世間からの評価も非常に高く、2018年の『高校生が“好きなマンガ・コミック”BEST10』では、女子の間で1位を獲得しています。
Filmarksという日本のレビューサイトでは2022年現在、星5つ中の星4.4という高評価です。

海外でも評価は高く、MyAnimeListというサイトではなんと106万人以上の方から評価をもらっており、平均は10点満点中8.45点になっています。

再生時の注意点
すべての再生機器で再生できるとは限らない
海外版のBlu-ray、DVDですが、すべての再生機器で再生できるとは限らないので注意が必要です。
プレーヤーやDVDには、発売地域ごとに再生可能なリージョンコード(地域番号)が割り当てられています。
再生するディスクのリージョンコードとプレーヤーのリージョンコードが違う場合は再生できません。
英語版DVD/Blu-rayの主な発売地域である北米は日本とリージョンコードが異なるため、再生機器によっては再生できないことがあります。
再生可能なプレーヤーは下記のようなものになります。
・国コード(リージョンコード)が変更できるプレーヤー
・PS3やPS4などのゲーム機
・PC
国コードが変更できるプレーヤーは下記のようなものになります。
Amazonで「リージョンフリープレーヤー」などで調べてみると良いでしょう。
私の場合、Mac環境では市販の外付けプレーヤー&「Mac Blu-ray Player」または「AnyMP4 Blu-ray Player」というソフトで再生することができました。
Window環境では外付けプレーヤー&「AnyMP4 Blu-ray Player」と「Leawo Blu-rayプレイヤー」で再生することができました。
Leawo Blu-rayプレイヤーは無料(2022年6月時点)で使うことができますので、もしお使いのソフトがダメだった場合は試してみてください。
外付けプレーヤーは下記のものを使いました。
BUFFALO BDXL対応 USB3.0用ポータブルブルーレイドライブ スリムタイプ ブラック BRXL-PT6U3-BKD
PCで再生する場合であれば一般的なBlu-rayプレーヤーでも再生できるので、PCで視聴するか、PS3やPS4などをお持ちの方はそちらで視聴するのが良いかと思います。

