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ハイキュー!!から学ぶ『ドンマイ』の英語での言い方とは?

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©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS
「Haikyu: Season 1」より

スポーツや仕事で仲間がミスをした時に、「気にするな」「気にしないで」と元気づける意味で「ドンマイ」と言うことがあります。

「ドンマイ」はもともと「Don’t mind.」という英語を省略した和製英語です。
そこで「ドンマイ」と英語で言う時に「Don’t mind.」と言っても通じそうな気もしますが、果たしてそうでしょうか?

今回はこの「ドンマイ」が英語ではどのように翻訳されているのか紹介したいと思います。

参考にする作品は高校バレーボールを題材にしたジャンプ作品ハイキュー!!』の北米版アニメです。

チームプレーであるバレーを題材にしているため、「ドンマイ」という言葉が頻繁に出てきて参考になります。

それでは見ていきましょう。

「ドンマイ」は「Don’t mind」で通じる?

さて、そもそも「ドンマイ」は「Don’t mind」でも通じるのでしょうか?

結論から言うと、「気にするな」と言う場面で「Don’t mind」と言うと、不自然な言い回しになるので使わないほうが良いでしょう。

mindという単語ですが、下記のような意味があります。

mind

[他動詞]
・〜に注意する、用心する
・〜を嫌がる、嫌だと思う
・〜を心にかける
・〜の世話をする
・〜の命令に従う

[自動詞]
・嫌と思う、気にする、反対する
・注意する、用心する

[名詞]
・心、精神
・知性、知力
・記憶、回想

他動詞というのは、動詞の後ろに目的語を必要とするもので、目的語が動作の対象になります。
自動詞というのは、動詞の後ろに目的語が必要ないものです。

まず、Don’t mind.という時、他動詞的に言うならば、目的語がついていないので文法として成立していません。
正しく言うなら、Don’t mind it.となります。しかし、このように言うことはほとんどありません。

あえて言うなら、英語ではDon’t mind me.という時があります。
Don’t mind me.は「私にお構いなく」というような意味で、例えばあなたと誰かが同じ部屋にいて、相手の作業を邪魔したくない時に使います。

自動詞的に言うなら目的語は必要ありませんが、主語はあったほうがいいので、I don’t mind.と言ったほうが文法的に正しいでしょう。

意味としては「私は気にしませんよ/私は別に構いませんよ」という意味になります。

なんとなく意味は通じそうですが、ニュアンスとしては「あなたがミスしても私には関係ないから構いませんよ」のような冷たい感じに受け取られてしまう可能性があります。

つまり、相手を励ます意味で「ドンマイ」と英語で言うなら、Don’t mind.ではなく別の表現を使ったほうが良いでしょう。

Don’t sweat it!

それでは「ハイキュー!!」の北米版で実際に出てきた翻訳をもとに紹介していきます。

まずは「ハイキュー!!」1話の英語字幕版から出てくる表現です。
チームメイトのミスに対し、ヒナタが「ドンマイ」と声をかけます。

ここでは「ドンマイ!」にあたる部分に「Don’t sweat it!」という表現が使われています。

ドンマイ2©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS 「Haikyu: Season 1」より
ヒナタ
ヒナタ
Don’t sweat it!
ドンマイ、ドンマイ!

sweatという単語ですが、名詞で「汗」「運動着」という意味、動詞で「汗をかく」という意味があります。
日本語ではこちらのイメージが強い単語ですね。

しかし、実は動詞で「心配する」という意味もあります。

sweat

to worry about something
何かを心配すること

出典:Cambridge Dictionary

つまり、Don’t sweat it!というのは「心配しないで!」と、相手の不安を取り除いてあげたり、励ましたりする場面で使うことのできる表現です。

Don’t worry about it!

上記では英語字幕版の表現を紹介しましたが、同シーンの英語吹き替え版だと、また別の表現が使われています。
アニメの北米版では、英語吹き替え音声と英語字幕の表現が異なることはよくあることです。

英語吹き替え版では、「Don’t sweat it!」の代わりに「Don’t worry about it!」という表現が使われています。

ヒナタ
ヒナタ
Don’t worry about it!

この表現はご存じの方も多いと思いますが「心配しないで」という意味です。

言い方が違うだけでDon’t sweat it!と同じ意味の表現です。

Shake it off!

続いても「ハイキュー!!」1話からの表現です。
日本語のセリフでは「ドンマイ」ではなく「気にしない」となっていますが、他のシーンでは「ドンマイ」にあたる部分で使われていたりするので紹介します。

ここでは「Shake it off!」という表現が使われています。

ドンマイ1©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS 「Haikyu: Season 1」より
ヒナタ
ヒナタ
Shake it off, shake it off!
気にしない、気にしない!

shake off 〜」で「〜(嫌なもの、問題、病気などを)取り除くという意味があります。
shakeは「〜を振り払う」という意味があるので、そのイメージから来ている表現です。

shake if off」で「気にしない」「水に流す」などの意味があり、過去の悪いことを忘れさせて前に進ませる際に使われる表現です。
まさに日本語で言う「ドンマイ」にピッタリの言葉でしょう。

余談ですがアメリカのシンガーソングライターであるTaylor Swift(テイラー・スウィフト)の有名な曲に「Shake it off」という曲があります。
日本では「シェイク・イット・オフ〜気にしてなんかいられないっ!!」というタイトルで発売されました。
Taylorのことを悪く言う世間に対して、「気にしてなんかいられない」と自分を奮い立たせる歌詞になっています。

Taylor SwiftのShake it offを聴いてみたい方はこちら

It’s all right!

続いては「ハイキュー!!」23話からです。
ピンチサーバーとして出てきた山口ですが、ミスをしてしまい、烏野メンバーから「ドンマイ」と声をかけられます。

ここでは「ドンマイ!」に当たる部分として「It’s all right!」という表現が使われています。

ドンマイ3©古舘春一/集英社・「ハイキュー!!」製作委員会・MBS 「Haikyu: Season 1」より

英語字幕

澤村
澤村
Hey, it’s all right!
ドンマイ!
田中
田中
Yeah! Don’t sweat it, bro!
き、気にすんな!
影山
影山
You good!
ドンマイ!

It’s all right!は「大丈夫だよ」「問題ないよという意味の表現です。

こちらも「ドンマイ」と言いたいときに使うことのできる表現でしょう。

以上、北米版「ハイキュー!!」の中で、「ドンマイ」の英語訳を紹介してみました。

やはり英語版ではDon’t mind.と翻訳されている場所は1つもありませんでした。
作品全体を通してよく使われるのはDon’t sweat it.だったように思います。

「ハイキュー!!」は題材が部活動ということもあり、スポーツに関する英語表現や、チームワークに関する英語表現を多く学ぶ事ができます。

内容も非常に面白いので興味のある方はご覧になってみてください。

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