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【ジョジョ】「黄金の風」に出てくるキャラとスタンドの英語名を完全解説!

© LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会

『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』に出てくる『スタンド』。

『スタンド』とは人間の生命エネルギーが形となって出現したものです。
持ち主のそばに出現し、様々な超常的能力を発揮して、他人を攻撃したり持ち主を守ったりする守護霊のような存在です。

そんなスタンドにはそれぞれ名前がつけられていますが、実は英語版ではそのほとんどが違う名前となっています。

今回はそんな英語版でのスタンド名を、キャラクターの名前と併せて紹介します。

なぜ名前が異なっているのか?

そもそもですが、なぜ名前が異なっているのでしょうか?わざわざ変える必要があるのでしょうか?

まず前提として、原作のスタンド名は多くの場合モチーフや由来があります。
そして第4部のほとんどのスタンドは、西洋のバンド名・アルバム名・曲名が由来となっています。

例えば第4部の主人公「ジョルノ・ジョバァーナ」のスタンド「ゴールド・エクスペリエンス」ですが、Princeのアルバム「The Gold Experience」からとられています。

Prince「The Gold Experience」

さて、ここで問題になったのが「著作権(copyright)」です。

「ジョジョ」シリーズのアニメ化が2012年あたりから始まりました。
そして、アメリカでもViz Mediaという会社から、ジョジョの北米版のインターネット放送展開やDVD/Blu-rayなどの発売がされることとなりました。
ちなみにViz Mediaはアメリカのサンフランシスコにある会社ですが、小学館と集英社が共同で所持している会社です。北米における日本の漫画・アニメの翻訳出版と日本アニメの映像販売を行っています。

さて、スタンド名はもともとがアメリカなどの西洋のバンド名・アルバム名・曲名をモチーフにしているということもあって、アメリカでそれらの名を使うとなると、著作権の侵害になる恐れがあると彼らは考えたようです。

では、実際に著作権の侵害になる恐れがあるのかというと、その可能性はかなり低いと思われます。
音楽関係にある名前とはいえ、そもそも実際によく使われる単語だってあります。
クラッシュ(Clash)なんかは「衝突する」という単語ですし、こんなのに著作権が発生したらたまったものじゃありません。
他にはGreen Dayは「ドラッグをやる日」という隠語です。
(逆に「エアロ・スミス」なんかはメンバーの造語らしいので、これはさすがにマズそうですが…)

しかしながら、アメリカは訴訟大国でもあります。万が一、訴えられて、もしそれが認められたなら、多額の賠償金が発生することとなります。
Viz Mediaを始めとしたお偉いさんたちは、大事に大事を取って、名前を変えるという選択をしたようです。

このように発売国に合わせて名称を変更したり、製品仕様を変えることを「Localization(ローカリゼーション)」と言います。

キャラクター名とスタンド名一覧

それでは、キャラクターとスタンドの英語名を一覧で見てみましょう。
出典は北米版アニメ『Jojo’s Bizarre Adventure: Golden Wind』です。

一部の名前に関しては補足として解説を書きました。

キャラクター スタンド
ジョルノ・ジョバァーナ
Giorno Giovanna
ゴールド・エクスペリエンス
Golden Wind
ブローノ・ブチャラティ
Bruno Bucciarati
スティッキー・フィンガーズ
Zipper Man
グイード・ミスタ
Guido Mista
セックス・ピストルズ
Six Bullets
ナランチャ・ギルガ
Narancia Ghirga
エアロ・スミス
Li’l Bomber
レオーネ・アバッキオ
Leone Abbacchio
ムーディー・ブルース
Moody Jazz
パンナコッタ・フーゴ
Pannacotta Fugo
パープル・ヘイズ
Purple Smoke
トリッシュ・ウナ
Trish Una
スパイス・ガール
Spicy Lady
ポルポ
Polpo
ブラック・サバス
Shadow Sabbath
マリオ・ズッケェロ
Mario Zucchero
ソフト・マシーン
Tender Machine
サーレー
Sale
クラフト・ワーク
Arts & Crafts
リゾット・ネエロ
Risotto Nero
メタリカ
Metallic
ホルマジオ
Formaggio
リトル・フィート
Tiny Feet
イルーゾォ
Illuso
マン・イン・ザ・ミラー
Mirror Man
プロシュート
Prosciutto
グレイトフル・デッド
The Thankful Death
ペッシ
Pesci
ビーチ・ボーイ
Fisher Man
メローネ
Melone
ベイビィ・フェイス
Babyhead
ギアッチョ
Ghiaccio
ホワイト・アルバム
White Ice
スクアーロ
Squalo
クラッシュ
Crush
ティッツァーノ
Tiziano
トーキング・ヘッド
Talking Mouth
カルネ
Carne
ノトーリアス・B.I.G.
Notorious Chase
チョコラータ
Cioccolata
グリーン・デイ
Green Tea
セッコ
Secco
オアシス
Sanctuary
ジャン=ピエール・ポルナレフ
Jean Pierre Polnareff
シルバー・チャリオッツ
Silver Chariot
ディアボロ
Diavolo
キング・クリムゾン
Emperor Crimson
ヴィネガー・ドッピオ
Vinegar Doppio
スコリッピ
Scolippi
ローリング・ストーンズ
Prophecy Stones

「ゴールド・エクスペリエンス」

「ゴールド・エクスペリエンス」はGolden Windとなっています。
作品タイトルである「黄金の風」がGolden Windと翻訳されているので、そこと合わせたのでしょう。

ちなみに第6部「ストーン・オーシャン」の主人公「空条徐倫(ジョリーン)」のスタンド「ストーン・フリー」も作品タイトルと同じであるStone Oceanになっています。

「ブチャラティ」と「スティッキー・フィンガーズ」

日本語名では「ブローノ・ブチャラティ」ですが、英語ではBruno Bucciaratiと書き、発音も「ブルーノ」に近くなります。
Youtubeで海外のファンの動画を見ると、「ブチャラティ」と呼ぶよりも「ブルーノ」と呼ぶ方のほうが多かったです。
そちらのほうが発音もしやすいし、身近に感じる名前なのでしょう。

「スティッキー・フィンガーズ」は「Zipper Man」となっています。北米のファンの反応を見ると苦笑している方が多いので、あまり良いローカリゼーションとは言えないようです。(まぁ直訳すると「ジッパー男」ですからね…)

「ナランチャ」と「エアロ・スミス」

ナランチャは英語ではNaranciaという綴りになっています。
恐らく、イタリア語でオレンジを意味するaranciaの古語であるnaranciaが由来だろうと言われているようです。

YouTubeのファンの動画を見ていると、最初にこの綴りを見て「ナランシア」と呼ぶ方が多かったです。その後「ナランチャ」という発音を聞いて「あぁ、そう発音するんだ」という感じでした。
英語的に読むとそっちの方が自然なんでしょうかね。

Li’l BomberのLi’lは小さいを意味するlittleの省略形です。「小さい爆撃機」を意味します。

「スパイス・ガール」

トリッシュのスタンド「スパイス・ガール」の由来は、1994年に結成されたイギリスのガールズグループ「スパイス・ガールズ(Spice Girls)」で、活動休止や再結成などを繰り返しつつも2022年現在も活動しています。
英語でのスタンド名はSpicy Ladyとなっています。

「ノトーリアス・B.I.G.」との戦いで、スパイス・ガールが「ワナビー!!!」と叫んで飛行機を殴るシーンがありますが、これはスパイス・ガールズのデビューシングルである「Wannabe」から来ています。
Youtubeなどの海外のファンのリアクションを見ると、このシーンでは皆さん大盛りあがりでした(笑)。

「クラフトワーク」

サーレーのスタンド「クラフトワーク」は「Arts & Crafts」に変わっています。

「クラフトワーク」の元ネタはドイツの電子音楽グループ「Kraftwerk」のようです。
Kraftwerkはドイツ語で「発電所」の意味があります。

一方、英語のcraftworkは「手工芸品」という意味があります。

スタンド名が「Arts & Crafts = 芸術と技能(工芸)」に変わっているところを見ると、翻訳者の方はスタンド名の由来がドイツ語だということを知らなかったのでは…?

もしくは、「クラフトワーク」の能力を考えると「発電所」っぽい名前をつけるよりもcraft(技能、工芸)という名前を入れたほうがしっくりくると考えたのかもしれません。

「ホルマジオ」

暗殺チームの1人「ホルマジオ」ですが、アルファベットの綴りはFormaggioとなり、吹替版の発音を聞くと「フォマージオ」に近いです。
formaggioはイタリア語で「チーズ」を意味します。
イタリア語では「フォルマッジョ」のような発音になります。

「プロシュート」と「ペッシ」

兄貴分「プロシュート」と弟分「ペッシ」。

プロシュートはProsciuttoと書き、イタリア語で「豚のもも肉のハム」を意味します。
ペッシはPesciと書き、イタリア語で「魚」を意味します。

ペッシは能力から考えて「魚」を由来とするのは分かるんですが、兄貴の「ハム」はなんでそうなったんでしょうか?
調べていてちょっと分かったのは、prosciuttoの語源は「完全に乾いたもの」という意味があるラテン語のproexsuctusから来ているそうです。
もしかすると兄貴のハードボイルドな性格を表すという意味で、その語源を意識したのではないかと思いましたが、どうなんでしょうね?

また、豆知識ですが2人のスタンドの由来であるバンドのThe Grateful DeadとThe Beach Boysですが、たびたび交流があったそうです。
1971年にThe Grateful DeadがNYのライブに出演した際、The Beach Boysがサプライズゲストとして呼ばれたそうです。
また、両グループが共演した「The Beach Boys meets The Grateful Dead」というアルバムも存在します。

「ギアッチョ」

個人的に語感が大好きな名前なんですが、イタリア語でGhiaccioと書き「氷」を意味します。

「スクアーロ」と「クラッシュ」

Squaloは実はイタリア語で「サメ」を意味します。彼はサメ型のスタンドを使うので、実はそのままの名前なんですね。

スタンドの「クラッシュ」はパンクバンド「Clash」が由来です。
clashは「ぶつかる」「衝突」などの意味があります。
このスタンドは英語版では「Crush」と綴りの微妙に異なる名前になっています。
crushは「押しつぶす」や「壊滅させる」などの意味があります。

余談ですが、炭酸水にレモン果汁を絞った「レモンスカッシュ」という飲み物ですが、英語ではlemon crushと言います。

「オアシス」

セッコのスタンド「オアシス」は英語ではSanctuaryとなっています。
sanctuaryは名詞で「神聖な場所」「聖域」「避難所」などの意味があります。
また、「禁猟区」「保護区域」などの意味もあり、a bird sanctuary=鳥類保護区域 などと使ったりもします。

「シルバー・チャリオッツ」

ジャン・ピエール・ポルナレフのスタンド「シルバー・チャリオッツ」はタロットカードが由来となっています。なので著作権の問題がないため、英語版ではそのままSilver Chariotとなっています。

chariotとは古代ギリシア・ローマにおける戦闘用馬車を意味します。

https://en.wikipedia.org/wiki/Chariotより引用

「ローリング・ストーンズ」

スコリッピのスタンド「ローリング・ストーンズ」は英語ではProphecy Stonesとなっています。
prophecyは「予言」という意味です。
まさに能力の内容を表す名前となっています。

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