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【解説付き】『覚悟とは暗闇の荒野に〜!』の公式英語訳がカッコイイ!

© LUCKY LAND COMMUNICATIONS/ 集英社・ジョジョの奇妙な冒険GW製作委員会
『Jojo's Bizarre Adventure: Golden Wind - Part 1』より

名言の多い作品で知られる『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』。

その中でも恐らく1番人気で圧倒的に輝く、主人公ジョルノ・ジョバァーナによる名言―

『「覚悟」とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開く事だッ!』

何度聞いてもしびれます。

さて、このカッコイイ名言を英語で言うとどうなるでしょう?
変わらずカッコイイままでしょうか?

今回は、アニメ「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」の北米版からその英訳を紹介します。
ちなみにこちらの作品はViz Mediaという集英社の子会社から出ているものなので、これから紹介するのはいわば公式翻訳です。

翻訳には英語吹き替え音声版と英語字幕版の2種類ありますので、どちらも紹介します。

原作のシーンをおさらい

まずは原作のシーンを簡単におさらいしておきましょう。

アニメでは19話に収録されているシーンです。

主人公「ジョルノ・ジョバァーナ」とその仲間「グイード・ミスタ」は、敵である「ギアッチョ」に追い詰められます。

ミスタは自分を犠牲にしてでも敵を倒そうと挑みますが、ジョルノはそんな希望の捨てた行動では道は切り拓けないと確信します。

そしてジョルノはミスタを正しい方向へ導くため、血しぶきを上げた左腕を天に突き上げてこう言うのです。

ジョルノ
ジョルノ
「覚悟」とは!!暗闇の荒野に!!進むべき道を切り開く事だッ!

……

ジョルノの高潔な覚悟を表した行動と言動、その後の白熱したバトルとも合わせて、シリーズ中でも屈指の名シーンとなっています。

英語吹き替え音声版

まずは英語吹き替え音声版から紹介します。

アニメの英語版では、英語字幕が原文のセリフに忠実に翻訳される傾向がある一方、英語吹き替え音声は映像の尺に合わせたり、自然な語感を表現するなどの制約があるため、原文のセリフとやや変化する場合があります。

原作のテイストが失われてしまう危険性がある一方、原文よりもセンスのある言い回しが生まれるなど、翻訳者の腕が問われるところです。

さて、今回のセリフの場合はどうでしょうか?

ジョルノ
ジョルノ
This is what it means to have determination,
to forge your path through the darkness of life!

まずは This is what it means to have determination = 覚悟を持つとはこういう意味だ と前置きしています。
determination」は名詞で「覚悟」という単語を使っています。
他には「resolution」も覚悟を表すことができる単語です。

to forge your path through the darkness of life = 人生の暗闇の中に己の道を切り拓くことだ と続きます。

「暗闇の荒野」はdarkness of life = 人生の暗闇 という言葉に置き換わっています。

ここでキーとなるのが「forge」という単語でしょう。
forgeは日英辞書を引くと以下のような意味があります。

forge

動詞
①(鉄)を鍛(きた)える;(製品)を鍛えて作る
②(計画など)を作り上げる
③(文書など)を偽造する

名詞
①(鍛冶場の)炉
② 鍛冶場;鉄工所

このようにforgeという言葉は鉄を叩いて何かを作り上げる鍛冶仕事と強い関連のある言葉です。おそらく、この鍛冶仕事という作業を表す言葉が、何かを苦労して作り出すという付随した意味も表すようになったと思われます。

英英辞典にはforgeの意味の1つとして次のように記されています。

forge

to make or produce something, especially with some difficulty

特に苦労を伴って、何かを作ったり生み出すこと

出典:Cambridge Dictionary

意味としてはcreateに近いですが、createよりも苦労を伴っているという意味がこめられています。

それに単純にto create a path through the darkness of life と言うよりも、to forge a path thorough the darkness of lifeと言ったほうが、金属を鍛造するというforgeの意味も相まって、暗闇の中に明るく浮き上がってくる光り輝く道というイメージが思い浮かびませんか?

forgeを使ったその他の例文もここで示しておきます。

例文.
The accident forged a close bond between the two families.
その事件は2つの家族の絆を作り出した。

She forged a new career for herself as a singer.
彼女は歌手としての新しいキャリアを自らの手で作り出した。

英語字幕版

続いて英語字幕版を紹介します。

ジョルノ
ジョルノ
Having determinazione is having the will to forge your own path in the shadowy murkiness of life!

ジョジョの英語版の特徴として、作品舞台がイタリアであるということを意識して、イタリア語が豊富に使われているという点です。

ここでは覚悟を表す単語として「determinazione」というイタリア語が使われています。
英語では前述の通り「determination」です。

まず、Having determinazione is having the will = 覚悟を持つことは意志を持つこと と言って、その直後にどんな意思かを表す説明として、
to forge your own path in the shadowy murkiness of life = 人生の暗く濁ったもの(暗雲)の中に己の道を切り開くことだ
と続きます。

shadowyは形容詞で「影の多い」「暗い」などを意味します。
murkinessは名詞で「不透明で曇ったもの」や「霧状で視界が悪くなる大気」のことを言います。

原文では「暗闇の荒野」となっているところなので、何か自然のものに例えるという意図を反映して、the shadowy murkiness of life = 人生の暗く濁ったもの(暗雲)のような翻訳になっているのだと考えています。

いかがでしたか?

個人的には「人生の荒野」の部分をshadowy murkiness of lifeと翻訳している英語字幕版のほうが好みですが、英語音声で聴くと英語吹き替え版は確かにリズム感が良くて気持ちが良いです。

みなさんはどちらの翻訳が気に入りましたか?

以下の記事では、「黄金の風」の中の名言の英訳を解説しています。

ぜひご覧になってみてください。

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