『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』に登場するキャラクター「ギアッチョ」。
主人公たちに敵対する暗殺チームの一人ですが、個性的なキャラクターで読者の記憶に残っています(ジョジョにおいては個性的でないキャラクターのほうが珍しいかもしれませんが…)。
水色の渦巻ヘアーでメガネをかけた風貌からは知的な印象を与えますが、その性格は非常にキレやすく手に負えません。
細かいことにも全力でキレるギアッチョですが、中でも印象に残っているのは「根掘り葉掘り」という言葉に突然全力でキレるあのシーンなのではないでしょうか?
この「根掘り葉掘り」という言葉にキレるシーン、日本語だからこそ意味が通用するようなシーンですが、英語版ではどのように翻訳されているのでしょうか?
今回は集英社から公式ライセンスを受けて北米版アニメを販売しているViz Mediaの『Jojo’s Bizarre Adventure: Golden Wind』から、「根掘り葉掘り」のシーンがどのように英訳されているかを紹介します。
まずは原文のセリフを確認
まずは原文の日本語のセリフに関して、改めておさらいしておきましょう。
※アニメ18話より。
『根を掘る』ってのはわかる……スゲーよくわかる。
根っこは土の中に埋まっとるからな……
だが!「葉掘り」ってどういうことだああ~~~っ!?
葉っぱが掘れるかよッ!クソがっ!ど~いうことだ!?
「葉掘り」ってどういうことだ!?
ナメやがってクソッ!クソッ!
う〜ん、何という情緒不安定(笑)
こんな些細なことに全力でキレていたら間違いなく高血圧になります。
しかし、言われてみたらギアッチョの言っていることも分からなくはないです。確かに「葉を掘る」って意味が通じません。
調べてみると、どうやら「葉掘り」の部分は「根堀り」の部分に合わせて足された語呂合わせらしいです。つまり、語感のために付け足されたのであまり意味はないようです。
「な〜んだ」とちょっと肩透かしですね。
これをギアッチョに教えるとますますキレそうです(笑)
英語版ではどのように翻訳されている?
さて、英語版ではどのように翻訳されているか見てみましょう。
今回は英語吹き替え音声を書き起こしました。
ちなみに英語字幕は細かいところが微妙に違いましたが、ほとんど同じでした。
※英語吹き替え音声より。日本語は筆者の意訳。
奴らを捕まえる方法は唯一つ。
Leave no stone unturned and think outside the box, they said.
「石を一つ残らずひっくり返し」、「箱の外を考える」か。
I get leaving no stone unturned, any idiot would.
「石を一つ残らずひっくり返す」ってのは分かる、どんな馬鹿でも分かるだろう。
I mean, who hasn’t turned over rocks to find stuff?
物を見つけるのに石をひっくり返さない奴なんていないからな?
But what the hell is thinking outside the box even supposed to mean!?
だが「箱の外を考える」って一体どういう意味なんだよ!?
Maybe I think better in there! Damn it!
もしかしたら箱の中の方が良い考えが出るかもしれないだろ!クソが!
So my brain is in a box now!?
じゃあ俺の脳ミソが箱の中にあるとでも!?
That’s the dumbest thing I’ve ever heard!
俺が今まで聞いてきた中で最高に馬鹿らしい言葉だぜ!
You think I’m an idiot!? Cazzo!
俺が馬鹿だとでも思ったか!?クソッタレが!
stuff
[名詞] 物
〜, they said.
一般的に〜と言われている、〜らしい
idiot
[名詞] 馬鹿
dumb
[形容詞] 馬鹿な
cazzo
(イタリア語で)チクショウ、クソ
「根掘り葉掘り」の部分は「Leave no stone unturned and think outside box」と翻訳されています。
これらは英語のことわざなのですが、正確には2つのことわざをくっつけています。
「Leave no stone unturned.」は直訳すると「石を一つも残らずひっくり返す」です。
leaveは動詞で「去る」という意味以外にも「残す」という意味もあります。「ひっくり返していない石(stone unturned)を一つも残さない」ということです。
この直訳からも意味は分かると思うのですが、「物事を徹底的に調べ尽くす」という意味のことわざとなっています。
「Think outside box.」は直訳すると「箱の外を考える」です。
つまり「自分が閉じこもっている箱の中だけのことを考えずに箱の外のことを考える=枠にはまらず柔軟で自由な考えをする」という意味のことわざです。
「根掘り葉掘り」は一つの言葉で、前半は意味が分かるが後半は意味が分からないという言葉ですが、英語ではそのような適当な言葉が見つからなかったので、2つのことわざをくっつけて翻訳したようです。
しかし、「Think outside box.」は日本人の我々が聞いても「箱の中だけでなく箱の外を考えるように柔軟な思考ね」と意味がなんとなく分かりますよね。
この言葉にさえ「箱の中のほうが良い考えかもしれないだろ!」とキレるギアッチョは、より理不尽でむちゃくちゃな性格をしているように写って面白いです(笑)
「ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風」の英語版はレベルが高い上級者向けな作品ですが、だからこそ非常に英語の勉強になる作品です。
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ぜひご覧になってみてください!