本気で怒った時、激高した時、あまりの怒りに我を忘れることを「キレる」と言いますよね。
あなたが実際によくキレる人かはさておき、冗談っぽく「キレそう」とか、「あの人キレやすいからなぁ」「キレたらしいよ」などと世間話をしたりと、会話の中ではよく出てくる表現です。
この「キレる」を英語で何と言うかご存知ですか?
単に「怒っている」状態のことはangryと表現できるかとは思います。しかし、やはり「怒る」「怒っている」と「キレる」は微妙にニュアンスが違っており、angryでは伝えきれない部分もあります。
そして実は「キレる」のような、突如襲ってくる激しい怒りを適切に表す表現がしっかりとあるのです。
今回は日常生活で頻繁に使う「キレる」の英語での言い方について、英語版アニメに出てきた実際の表現をもとに解説してみます。
実際のシーンをもとに学ぶことで、分かりやすく記憶に残りやすいはずです。
それでは見ていきましょう。
snap
まずは「キレる」という表現にもっとも近い「snap」を使った表現を見てみましょう。
『ハンターxハンター』97話
幻影旅団の「フェイタン」とキメラアントの「ザザン」の戦闘シーンです。
致命傷を受けてキレたフェイタンが能力を発動しようとして、周りの旅団員たちが避難しようとします。

『Hunter x Hunter Set 5』より引用
逃げろ。これに巻き込まれたら、お前死ぬぞ。
フェイタンはキレたら、周りのもの全部に攻撃するからな!
前に一度みんなで見物しようとしたことがあったけど、殺されかけたもんね!
run for it
急いで逃げろ
get caught up in 〜
〜に巻き込まれる、〜に夢中になる
解説
snapという単語は日本語でも「スナップを効かせて投げる」など和製英語として使われている言葉ですね。
snapという単語は実に色々な意味を持っており、その中の1つに「怒りなどの感情が突如コントロールできなくなること」つまり「キレる」という意味があります。
英英辞典には下記のように記されています。
to suddenly become unable to control a strong feeling, especially anger
突然、強い感情、特に怒りの感情がコントロールできなくなること
その他のsnapの意味を記してみます。
これらの意味を見た時、snapが「キレる」を意味することも分かったのではないでしょうか?
snapの大枠のイメージは、何かが瞬間的に音を立てて弾けたり折れたりすることです。
「キレる」もまさにそのようなイメージですよね。
snapは日本語の「キレる」にぴったりの表現なのです。
go off the deep end
次は慣用句的な表現の「go off the deep end」です。
これも「キレる」を意味することができます。
『ジョジョの奇妙な冒険 黄金の風』5話
何度教えても計算の解けないナランチャにフーゴがキレたシーン。
近くで見ていたミスタがその様子を見て呆れます。

『JoJo’s Bizarre Adventure: Golden Wind Part 1』より引用
一体このレッスンを何度教え続ければいいんだ?!
You dense cagacazzo!!
このバカ野郎が!!
ついにキレちまったな。
dense
[形容詞] 頭の悪い
cagacazzo
(イタリア語で)不快な人、イライラさせる人
解説
go off the deep endは直訳すると「深い終わりまで行く」です。
調べてみたところ、これは元はプールのことを意味しているようです。すべてのプールがそうなっているわけではありませんが、手前のほうが水が浅くなっており、奥に行くほど深くなっているプールがありますよね。
このプールの一番深いところをthe deep endと言うそうです。
浅いところよりも深いところのほうが、水に飲み込まれて溺れる危険性があります。
このイメージからgo off the deep endは「自制を失う」「かっとなる」つまり「キレる」という意味があります。
また、「無鉄砲な行動をする」「無茶なことをする」といった意味もあります。
慣用句的な意味だけでなく、下記の例文のように文字通りプールの深いところに行く場合もこの表現を使うそうです。
例.
Don’t let her go off the deep end—she doesn’t know how to swim.
彼女をプールの深いところに連れて行かないでね。まだ泳ぎ方を知らないのよ。
lose it
最後に場合によっては「キレる」と解釈することができる表現を紹介しておきましょう。
ハンターxハンター146話

『Hunter x Hunter Set 7』より引用
言わなきゃいけないことはそれだけかよ、馬鹿野郎?!
少なくとも『またな』くらいは言えるだろ?!
礼儀ってものを知らねーのかよ?!
あぁ!ジンがキレた!
早く!誰かこの怠け者のくそ親父を止めろ!
decency
[名詞] 礼儀、作法
negligent
[形容詞] 怠慢な、不注意な
jerk
[名詞] バカ、ゲス男
解説
lose itは直訳すると「それを失う」ですが、文脈によってはitを「感情のコントロール」を意味し、「自制心を失う」「感情を抑えられなくなる」「キレる」といった意味になります。
英英辞典では下記のように解説されています。
to stop being able to control your emotions and suddenly start to shout, cry, or laugh
あなたの感情のコントロールができなくなり、突然叫んだり、泣いたり、笑ったりすること
「キレる」以外にも「感情のコントロールができなくなること」全般に使うことができる表現です。
lose control/cool/temper
上で紹介したlose itに似た表現も併せて紹介しておきます。
上述したものでは、lose itと「it」を使って表現していましたが、itの代わりに具体的なものを入れて表現することもできます。
例えば、lose control/cool/temperで「自制/冷静さを失う」という意味になり、lose itとほぼ同じ意味合いになります。
『ハンターxハンター』85話

『Hunter x Hunter Set 5』より引用
ありがとう?何でそんなこと言うんだよ?
だって、オレを気絶させてくれた。キルアがやったんでしょ?
I mean If I’d lost control back there, I would’ve gotten in the way.
もしオレがあそこでキレてたら、邪魔になってた。
If I had, all three of us would have died.
もしそうなら、3人共死んでただろうね。
knock someone out
(誰かを)気絶させる
get in the way
邪魔をする、妨げる
『ハンターxハンター』98話

『Hunter x Hunter Set 5』より引用
何が言いたい?
つまりすでに49万5千人の人間が殺されてるってことだ!
How can you be so damn calm?!
なのになんでお前はそう冷静でいられる?!
なぜならもし俺たちがここで冷静さを失えば、何億という人間への死の宣告になるからだ!
death sentence
死の宣告、死刑宣告
いかがでしたか?
今回は「キレる」の英語での色々な言い方を実際のシーンをもとに紹介してみました。
たまたまかもしれませんが、少年漫画ばかりになってしまいました。でも考えてみると「キレる」という言葉は少年漫画ではよく出てきますね。
このように英語版のアニメを見ると、様々な英語表現を自然に学ぶことができます。
ぜひ挑戦してみてください!
