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「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」を英語で言うと?―ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」ということわざがありますよね?

自分の命を犠牲にする覚悟があってこそ、初めて窮地を脱して物事を成就することができるという意味です。

捨て身の覚悟で取り組めば、危機を脱し活路を見出せるということで、溺れかけたときはもがけばもがく程深みにはまるものであり、捨て身になって流れに身を任せれば、やがて浅瀬に立つことができるという意味から。

似た意味のことわざだと「虎穴に入らずんば虎子を得ず」があります。

これを英語で言うと“Nothing ventured, nothing gained.”と言うことができます。

さて、「ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破」の中で、マリが「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある!」という有名なシーンがあります。
北米版ではどのように訳されているのか、実際のシーンを引用しつつ紹介してみます!

ついでに「裏コード、ザ・ビースト!」がどのように英訳されているかなども紹介します!

©カラー ©カラー/Project Eva. ©カラー/EVA製作委員会


Evangelion-2.22 You Can (Not) Advance-Movie

実際のシーンで確認

使徒と戦闘中、窮地に立ったマリがエヴァンゲリオン2号機に隠された「裏コード」を使用するシーンです。
短いシーンですが重要表現が多く含まれているので併せてチェックしてみてください。

※英語吹き替え音声より。日本語訳は意訳。

マリ
マリ
Let’s get the better of you.
そろそろやっつけなきゃね。

It’s kicking my ass so far.
今のところやられっぱなしだから。

All right. Fingers crossed.
よし。幸運を祈りましょう。

Let’s do above humanity. No more restraints.
人間を超えてやるわ。もう制限は無しよ。

Invert controls! Backdoor code…. “THE BEAST”!
コントロール反転!裏コード…”ザ・ビースト”!

Bear with it UNIT-02! You can do this!
耐えて、2号機!あなたならできる!

This isn’t easy for me either!
辛いのは私も同じだから!

日向
日向
It’s physically changing!
姿が変わっていく!
マヤ
マヤ
The restrictors are being disengaged!
拘束具が解放されていく!

The readings are off the chart! We can’t read the plug interior!
計測値が規格外です!プラグ内部も読み取れません!

リツコ
リツコ
Must be pushing the negative range.
マイナス領域に行かせてるわね。

This girl is clearly willing to risk contamination.
あの子は汚染も厭わないようね

マヤ
マヤ
We can’t let her! It’s too dangerous!
やらせるわけいにはいきません!危険すぎます!
マリ
マリ
Nothing ventured, nothing gained! Just a little more…. THERE IT IS!!!
身を捨ててこそ、浮かぶ瀬もある!もう少しだけ…行くわよ!!!

get the better of〜
〜をやっつける、〜より優勢になる

kick someone’s ass
〜をやっつける、〜を負かす

fingers crossed
幸運を祈る

restraint
[名詞]自制、制限、拘束

backdoor
[形容詞]裏の、秘密の、裏口の

bear with 〜
〜を耐える、我慢する

off the chart
(大きさ・重量・数量などが)とてつもない、ぶっちぎりの、抜群の
※数値を表すグラフが外にはみ出すぐらいすごいという意味。

be willing to 〜
進んで〜する、〜するのを厭わない

there it is
さぁ来た、さぁ行くぞ
※文脈によっては、探していたものを見つけて「これだ」「あった」など

有名なセリフ「裏コード!ザ・ビースト!」“Backdoor code…. THE BEAST!”と訳されています。

ちなみに日本語の原作セリフは下記のようになっています。

マリ「どっこいしょ…このままじゃ勝てないな…
   よしっ!試してみっか。ヒトを捨てたエヴァの力、見せてもらうわ」

マリ「モード反転、裏コード、ザ・ビースト!」

マリ「我慢してよ…エヴァ2号機。私も我慢する」

日向「エヴァにこんな機能が…」

マヤ「リミッター、外されていきます!すべて規格外です!
   プラグ内、モニター不能!ですが…」

リツコ「おそらくプラグ深度はマイナス値。汚染区域突入もいとわないとわね」

マヤ「ダメです!危険すぎます!」

マリ「身を…捨ててこそ…浮かぶ瀬も…ある!!」

マリの最初のセリフや、「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある」の部分など、微妙にニュアンスが変わっているものもありますね。

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある」のところは、”Nothing ventured, nothin gained!”だけだと、英語では尺が短く持たないのでセリフを付け加えたのだろうと思います。
英語吹き替え版ではよくあります。

解説

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もある!」の部分は、英語版だと“Nothing ventured, nothing gained!”と訳されています。

ventureは「ベンチャー企業」などのように名詞的なイメージが強いですが、動詞の使い方もあり、「〜を思い切ってやる」などの意味があります。

gainは動詞で「〜を得る」という意味があります。

つまり、”Nothing ventured, nothing gained.”は直訳すると「何も思い切ってやらなければ、何も得ることはない」という意味です。

ちなみにこれは“If nothing is ventured, nothing is gained. “の略になっています。

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」は、自分の命を犠牲にする覚悟があってこそ、初めて窮地を脱して物事を成就することができるという意味なので、意味合いは同じですね。

また、「虎穴に入らずんば虎子を得ず」ということわざも意味合いは同じなので、”Nothing ventured, nothing gained.”と訳されます。

語源

「身を捨ててこそ浮かぶ瀬もあれ」の語源は諸説ありますが、江戸時代の「仮名草子」に同文の句が出てくることが確認されています。

「虎穴に入らずんば虎子を得ず」は五世紀頃に中国で書かれた「後漢書」に出てくるそうです。

では”Nothing ventured, nothing gained.”はというと、これももともと英語にあることわざだそうです。

こちらのサイトにその語源が説明されています。

Attested since 1546 in a book of English proverbs by John Heywood (see quotation below). Perhaps translated from or influenced by French Qui onques rien n’enprist riens n’achieva (“One who never undertook anything never gained anything”). Though a translation, a similar phrase of “Nothing ventured, nothing have.” appears in Sir George Dasent’s translation of the Icelandic text “The Saga of the Burnt Njal” (events occurring between 960 and 1020 A.D.), suggesting it may have gone back much further

要約すると、1546年の英語のことわざ(格言)集で最初に確認できるそうです。
おそらくフランス語の格言を翻訳したもの、または影響を受けた可能性が高いそうです。
しかし、似た意味合いのことわざは960年〜1020年代の文面にも出てくるため、その語源はもっと古い可能性もあるみたいです。

おそらくリスクなくして結果は得られないというのは、人類が感じる真理のようなものなので、世界各地で昔から語られていることなのでしょうね。


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