アニメ

【解説付き】英語で「悪とはてめー自身のためだけに弱者を利用しふみつけるやつのことだ!」は?

©荒木飛呂彦&LUCKY LAND COMMUNICATIONS/集英社・ジョジョの奇妙な冒険SC 製作委員会
「Jojo's Bizarre Adventure Set 2: Stardust Crusaders」第2話より

『ジョジョの奇妙な冒険』の第三部『スターダストクルセイダース』には数多くの名言が登場します。

その中の1つが承太郎が発言したこのセリフ
『悪』とはてめー自身のためだけに弱者を利用しふみつけるやつのことだ!
です。

このカッコいいセリフを英語で言うとどうなるのか?
アニメの北米版「Jojo’s Bizarre Adventure Set 2: Stardust Crusaders」より紹介し、解説します。

まずは原作のセリフを確認

まずは原作のセリフとその文脈を確認しておきましょう。

アニメ版では第2話に登場します。
承太郎の前に現れた謎の転校生『花京院典明』は自身のスタンド『ハイエロファントグリーン』を使い、学校の保健室の先生の体の中に潜み承太郎に攻撃を仕掛けました。
その影響で保健室の先生は瀕死の状態に陥ってしまいます。

自分の独特のポリシーを持つがゆえ、世間では不良と呼ばれている承太郎でしたが、自分の目的達成のためだけに弱者を利用し踏みにじる花京院の姿に怒りを爆発させるのでした。

承太郎
承太郎
だがこんな俺にも吐き気のする悪は分かる!
『悪』とはてめー自身のためだけに弱者を利用しふみつけるやつのことだ!
ましてや女を!
貴様がやったのはそれだ!あぁ!?
おめーのスタンドは被害者自身にも法律にも見えねーし分からねぇ。
だから!俺が裁く!
花京院
花京院
悪?それは違うな。
『悪』とは敗者のこと。『正義』とは勝者のこと。
生き残った者のことだ!
過程は問題じゃあない!

世間一般、または読者から見ると素行が良いとは言えない承太郎が自身の『悪』の定義をしっかりと言語化し指摘する。
さらにそれに対し敵側の花京院もまた己の信じる理を返すという流れは何年、何十年と経っても色褪せない名セリフだと思います。

実際の翻訳を確認

それでは英語版の翻訳を確認してみましょう。

北米版のアニメでは、英語翻訳は①英語字幕版②英語吹き替え版の2種類あり、2つは異なっている場合が多いです。
今回は英語吹き替え版の翻訳より紹介します。

※英文下の日本語訳は意訳。その下の()内には原文セリフを書きました。

承太郎
承太郎
But even a bastard like me can spot true evil when he sees it!
だがこんなろくでもねー俺みたいな奴でも本当の悪は見たら分かる!
(だがこんな俺にも吐き気のする悪は分かる!)

True evils are those who use the weak for their own gain and crush them underfoot when they’re through!
本当の悪とは自身の利益のために弱者を利用し用が済んだら踏み潰す奴らのことだ!
(『悪』とはてめー自身のためだけに弱者を利用しふみつけるやつのことだ!)

Especially an innocent woman!
特に無実な女をな!
(ましてや女を!)

And that is exactly what you’ve done, isn’t it?
そしてお前がやったのはそういうことだ、違うか?
(貴様がやったのはそれだ!あぁ!?)

And your Stand gets the hides from the victims and the law and the consequences.
お前のスタンドは被害者と法律と結果から隠れる。
(おめーのスタンドは被害者自身にも法律にも見えねーし分からねぇ。)

That’s why I will judge you myself.
だからこそ俺自身がお前を裁く。
(だから!俺が裁く!)

花京院
花京院
I’m evil? See that’s why you’re wrong.
僕が悪だって?だからお前は間違っているんだ。
(悪?それは違うな。)

Evil is always the loser.
悪とは常に敗者のことだ。
(『悪』とは敗者のこと。)

It’s the victor who has justice.
勝者が正義を有するのだ。
(『正義』とは勝者のこと。)

The victor is the last man standing. And how you win in battle is irrelevant!
勝者とは最後に立っている男だ。そしてどのようにして戦いに勝つかは重要ではない!
(生き残った者のことだ!過程は問題じゃあない!)

bastard
[名詞]ろくでなし、嫌な奴

underfoot
[副詞]踏みつけて、足の下に

be through
終える、用が済む

consequence
[名詞]結果、結論

victor
[名詞]勝者

irrelevant
[形容詞]重要でない、無意味な

解説

原作セリフと英語翻訳を見比べると、そのまま直訳しているわけではないということが分かりますね。
この辺は翻訳家の方による判断が大きいところで、直訳すると英語的に不自然になってしまう場合があるので変更させることがあります。素直に翻訳するのが必ずしも良いわけではないのですね。しかし、変更させると原作のニュアンスを損なう場合もあるので判断が難しいところです。

また、吹き替え版翻訳の場合には、尺の収まりも考える必要がありますのでそういった理由から変更、またはセリフを付け足したり省いたりということもあります。

最初に気づく大きな違いでは「吐き気のする悪」は「true evil = 本当の悪」という表現に変わっています。
evilは名詞では「悪、邪悪なもの」という意味があります。さらに形容詞的な使い方もできて「悪い、邪悪な」という意味になります。
ちなみに物語の序盤では承太郎がスタンドのことを「悪霊」と思い込みますが、英語版では「evil spirit」と翻訳されています。
原作セリフの「吐き気のする悪」は直訳するなら「nauseating evil」や「disgusting evil」のようになるのでしょうが、「true evil」と言ったほうがスッキリするし頭に入ってくる感じはします。
※nauseating=吐き気を催す、disgusting=非常に不快な

さて、一番かっこいい部分「『悪』とはてめー自身のためだけに弱者を利用しふみつけるやつのことだ!」の部分は、
True evils are those who use the weak for their own gain and crush them underfoot when they’re through!
と翻訳されています。
前半の部分「『悪』とはてめー自身のためだけに弱者を利用し」のところは「True evils are those who use the weak for their own gain」という翻訳でほとんど直訳に近い感じがします。
those whoという表現はpeople whoと置き換えて頂いて大丈夫ですが、ネイティブはよくこのような表現をします(ちなみにTOEICにもよく出てきます)。
whoは関係代名詞で、whoのあとにthoseがどんな人達かを説明する文章が続きます。

後半の部分「ふみつけるやつのことだ!」は「and crush them underfoot when they’re through!」となっています。「主語 be動詞 through」は「(主語が)終える、用が済む」という意味があります。
直訳すると「彼らが用済みになったら足元で潰す(=踏みにじる)」なのでやや回りくどい言い回しになっていますね。
and crush them underfootのところで文が終わっても意味としては通じますが、口に出して読んでみるとなんとなく収まりが悪い感じがします。
そこでwhen they’re throughと付け足すことで、収まりも良くなるし、「用済みになったら踏みにじる」とひどい所業を強調することができます。

花京院のセリフ部分も見てみましょう。
個人的にカッコいいなと思った部分は「(勝者とは)生き残った者のことだ!」の部分の英訳「The victor is the last man standing.」のところです。
「生き残った者」を「the last man standing = 最後に立っている者」と表現しているのがめちゃくちゃしびれます。
「生き残った者」を普通に翻訳すると「survivor」になると思います。しかし、survivorだと災害や災難から生き残った人たちというニュアンスも含まれます。つまり自分の意志に関わらず生き残った人も含まれてくるわけです。
これを「the last man standing」とすると、standingというのは自分の意志で立ち続けているわけで、激しい戦いのあとでも最後まで立ち続けている勝者という情景が浮かび、セリフに重みが生まれるように思います。

【完全版】スターダストクルセイダースに登場するキャラとスタンドの英語版まとめ【ジョジョ第3部】荒木飛呂彦さんによる『ジョジョの奇妙な冒険』シリーズの第三部『スターダストクルセイダース』。 英語版ではキャラクター名やスタンド名はど...
【ジョジョ】承太郎の「やれやれだぜ」は英語で何と翻訳するのが正解なのか?「ジョジョの奇妙な冒険 スターダストクルセイダース」の主人公「空条承太郎」。 彼の口癖である「やれやれだぜ」。 クールな承太郎が...