ブレードランナー2049(Blade Runner 2049)より
みなさんはmereという単語を聞いたことはありますか?
実は私がこの単語に初めて出会ったのはTOEICの試験の中で、その時はどういう意味か分からなかったのを覚えています。
さて、この単語を使ったとても印象的な会話がブレードランナー2049の中に出てくるので紹介したいと思います。
とても記憶に残るおしゃれな会話なので、この際まるごと覚えてTOEICに備えましょう。
ちなみにブレードランナー2049は1987年に製作された「ブレードランナー」の続編として2017年に公開されました。
ブレードランナーはフィリップ・K・ディック作の「アンドロイドは電気羊の夢を見るか?(原題:Do Androids Dream of Electric Sheep?)という小説を原作としています。
私も映画「ブレードランナー」に非常に感銘を受けた1人で、小説も読みました。
なので正直続編に対しては不安が大きく、あまり期待していなかったのですが、予想を大幅に上回る名作だと感じました。
是非ご覧になってみてください。
“Blade Runner 2049” copyright Alcon Entertainment, Columbia Pictures, Sony
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実際のシーンで確認
主人公Kはアンドロイドであり、旧型の危険なアンドロイドを抹殺して回る「ブレードランナー」として警察の指揮のもと働いています。
そしてKはJOIと呼ばれるホログラムとして現れるAIと恋人関係にあります。
このシーンは、Kが捜査の過程で人間の遺伝子情報を覗き込んでいる時、JOIが現れて繰り広げる会話の一部です。
Mere data makes a man.
単なるデータが人間を作るのね(人間もただのデータね)
A and C and T ang G.
AとCとTとG
The alphabet of you.
あなたを表すアルファベット
All from four symbols.
すべて4文字からできているのね
I’m only two. One and Zero.
私はたった2文字。1と0
Half as much but twice as elegant, sweetheart.
半分だけど2倍素敵だよ
half as much
半分
twice as 〜
2倍の〜
例.
She earn twice as much as him. 彼女は彼の2倍稼ぐ。
You should prepare twice as much food you need. 必要量の2倍の食べ物を用意したほうがいいよ。
なんとも洒落た会話ですよね。
ちなみにご存知でない方のために解説しておくと、A/T/G/Cはそれぞれ、アデニン(A)、チミン(T)、グアニン(G)、シトシン(C)を表しており、DNAを構成する4種類の塩基のことです。
この4種類の塩基の連なりが設計図になっていて、並び方によって目や、皮膚や、脳を作るのに必要な指令が書いています。
一方JOIはAIというデータ上の存在のため、デジタル信号である1と0の2文字で構成されているというのですね。
mereの使い方
mereは「ほんの、たったの、単なる」という形容詞の意味を持ちます。
形容詞なので後ろに来るのは名詞ですね。
後ろに来る名詞を、「ほんの」と修飾するのです。
例.
She’s a mere child. 彼女はまだほんの子供だ。
He’s not a mere musician. 彼は単なる音楽家ではない。
Thai is a mere typo. それは単なる入力ミスです。
また、「a mere + 数値 + 単位」というパターンでもよく使われます。
注意点ですが、数値が1以外で単位が複数形になる場合でも冠詞のaが付くということです。
例えば、a mere three months ago(たった三ヶ月前)のようにthree monthsのように複数形ではありますが、「三ヶ月」というのを1つと捉えて修飾すると考えて冠詞のaが付くようです。
例.
That was a mere three month ago. それはたった三ヶ月前のことでした。
It takes a mere seven minutes to walk to the station. 駅までは歩いてたった7分です。
onlyとの違いは?
onlyにもmereと同じように「ほんの、たった、単なる」という意味があります。
紹介したシーンでもJOIが、
I’m only two. (私はたった2文字)
とmereを使わずに今度はonlyで表現していますね。
調べたところ、mereとonlyは全くと言っていいほど同じ意味と考えていいようです。
ただし文脈的に微妙にニュアンスが違う場合もあるそうです。
HiNativeというサイトに、mereとonlyの違いについてアメリカのネイティブスピーカーの方が投稿していたものがあるので引用します。

これによると、「mereはいかに小さい/少ない/重要でないかを伝え、onlyも同じように使われるが、それに加え量がそれ以上ないということも伝えられる」と書かれています。
確かに例文にあるようにmere motalは「単なる死を免れない存在」と「量がそれ以上ない」というニュアンスは含んでいませんが、only have two handsだと「たった2本しか手を持っていない=2本より多くは手を持っていない」と「量がそれ以上ない」と表していますね。
いかがでしたか?
mereは知名度が低い単語かと思いますが、TOEICにも出てくる頻出単語の1つとなっています。
このように映画に出てくる印象的なフレーズごと覚えて用法をマスターしておきましょう。
是非ブレードランナー2049本編もご覧になってみてください。
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