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陰キャならガツンと刺さるに違いない「Literally me」ミームとは?

Wow this is literally me smoking

最近、Youtubeで「〇〇 is literally me」というようなタイトルの動画をよく見かけます。

ハナ
ハナ
私もYoutubeのおすすめに出てきて見たことがある。
そしたら関連動画に似たタイトルがいっぱいあって不思議に思ったわ。
リン
リン
それもそのはず、実は流行りのミームなのよね!

ミーム(meme)とは…

本来の定義は『脳内に保存され、他の脳へ複製可能な情報である。例えば習慣や技能、物語といった社会的、文化的な情報である。』…

であるが、平たく一般的に使われる意味合いは、

インターネットを通して広く使われるおもしろネタ。

画像、動画、文章など媒体は幅広い。

このミームは『Literally Me Syndrome』とも呼ばれるほど、インターネット社会で大流行している現象です。

今回はこの『literally me』ミームの起源や派生を紹介します。

私含めて、いわゆる『陰キャ』には刺さる概念であること間違いなしです!

『Literally Me』は、ある画像投稿が起源

そもそも『Literally Me』を日本語に翻訳すると『文字通り自分だ/自分そっくりだ/ガチで自分みたいだ』のような意味合いです。

「literally」は副詞で「文字通り、まったく、誇張なしに、ガチで」のような意味があります。

リン
リン
「literature」は名詞で「文学、文芸」、「literal」は形容詞で「文字の」という意味があるわ。
ハナ
ハナ
そいういう単語の親戚ってことか。
「文字通り」って意味合いも頷けるな。

『Literally Me』ミームを端的にまとめると次のようになります。

  • ある個人(オタクや陰キャである場合が多い)が架空のキャラクターに共感を覚える現象
  • 架空のキャラクターは何かが欠けていて救いを探し求めているような外れ者である
  • 元は画像投稿によるもので「架空のキャラクターが持っているポジティブな要素(容姿や優れた能力)をその人物は持っていないにも関わらず、その人物は共感を覚えている」ということをからかうために作られた

『Literally Me』ミームの起源は、2018年の8月31日にFacebookで、あるユーザーから投稿された以下の画像だと言われています。

Wow this is literally me smoking「literally me」のオリジナル画像

ノートパソコンの前に座った冴えない(オタクっぽい)少年が、タバコを吸っているハードボイルド風の俳優を見て
『Wow, this is literally me. = わぁ、これは文字通り僕自身だ』
と言っています。

俳優は写真左上から、映画「スカーフェイス」出演時のアル・パチーノ、ケーリー・グラント、デビッド・ボウイ、映画「コンスタンティン」出演時のキアヌ・リーブス、映画「カサブランカ」出演時のハンフリー・ボガートというイケメンのスーパースター揃いです。

傍から見ていると、これらスーパースターに似ても似つかない少年が『literally me』と言っているというネタ画像なわけですね。

しかしこの状況、誰しも思い当たるフシがあるのではないでしょうか?
自分がこのくらいの年齢の時、憧れているスーパースターやキャラクターと自分を重ねてみて、まるで自分そっくりみたいだと考えてみたりしたのでは!?

この画像は他のSNSにも投稿され、一瞬にして広がりました。
また、この画像をもとにした改変バージョンが投稿されていき、ブームとなります。

2018年の9月1日には下のような改変バージョンが投稿されます。

オリジナルではタバコを吸ったクールな俳優に焦点をあてていましたが、この画像ではある種共通点を持った映画のキャラクターに焦点をあてています。
映画「ブレードランナー2049」のK、映画「タクシードライバー」のトラヴィス・ビックル、映画「プレイス・ビヨンド・ザ・パインズ」のルーク・グラントン、映画「ドライヴ」のドライバー、映画「ファイト・クラブ」のタイラー・ダーデン、映画「時計じかけのオレンジ」のアレックスです。

これらキャラクターに共通するのは、社会への否定と拒絶、将来に対する破滅的な見通し、陰鬱な態度などです。

これらもオタクで陰キャな若者なら親近感を抱くキャラクターたちですね。

さらに以下のような様々なバリエーションが作られていきました。

アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」をモチーフにしたもの
女の子バージョン
リン
リン
私もアニメとか見ててキャラクターに「literally me」って感じる瞬間が多すぎて胸が痛いわ
ハナ
ハナ
オタクとか陰キャに限らず誰しも抱く感情だと思うけどな

Youtubeでの動画投稿が再び火付け役に

このように『literally me』ミーム自体は2018年から存在しているので、特別新しいミームというわけではありません。

しかし、最近はYoutube上にて『literally me』ミームに関する動画が投稿され、一部の人達から注目を集めています。

Youtube上での火付け役となった動画は、おそらく2022年8月27日に投稿された以下の動画です。
(筆者が検索を駆使してたどり着いた、一番古いと見られる動画です。他に情報あればご連絡ください。)

この動画では、インターネット上で『literally me』として参照されるキャラクターが多く登場します。

参照された映画(動画登場順)

True Detective
Mr.robot
Watchmen
Donnie Darko
Joker
Blade Runner 2049
Fight Club
The End of the F***ing World
Taxi Driver
Nightcrawler
You were never really here
American Psycho
Into The Wild
Sicario
Better Call Saul

バックで流れているのは2022年5月にリリースされたMareuxというアーティストの『The Perfect Girl (The Motion Retrowave Remix)』です。
もともと同じアーティストがリリースしたThe Perfect Girlという曲があるのですが、そのリミックスバージョンとなります。

動画を見てもらえれば分かると思うのですが、この曲が『literally me』が参照するキャラクターの持つ雰囲気、テーマと妙な親和性を持っています。

このことから、この動画をオマージュした作品として、様々なキャラクターに置き換えた動画が作られていきます。
多くは同じ楽曲を使っていますが例外もあります。

アニメバージョンも作られています。
どれもやや古いアニメですが、曲調とも絶妙にマッチしていて中毒性があります。

最近ではTVアニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』の主人公「後藤ひとり」を題材にした「Bocchi is… literally me.」というタイトルの動画も作られ、バズっています。

「ぼっち・ざ・ろっく!」は海外でも大反響の作品でしたが、後藤ひとりの性格や考えに共感を持つ人々がいかに多いかという証拠になっている気がします。

ちなみにこの動画のサムネイルは「ブレードランナー2049」に登場したKの有名なシーンのオマージュです。
Kもliterally meの代表的なキャラクターです。

copyright Alcon Entertainment, Columbia Pictures, Sony
『ブレードランナー 2049』より引用

このように、最近は日本のアニメキャラクターが『literally me』の参照となる場合も多くなっています。
背景としては動画のオンデマンドサービスが普及してきて、日本のアニメが海外でも手軽に視聴しやすくなってきたことが挙げられるでしょう。

ハナ
ハナ
もともとネタ画像って意味合いが強かったけど、動画になると普通に見入っちゃうよな。
リン
リン
そうね!もともと『literally me』の参照キャラクターたちが出てくる作品は名作ばかりだから、元作品をつなぎ合わせた動画にすると自然と見入っちゃうわね。
私もぼっちちゃんの動画は何回も見ちゃったわ。
私にとって、ぼっちちゃんは『literally me』だわ…
ハナ
ハナ
…リンってギター弾けるの?
リン
リン
触ったこともないわ!
ハナ
ハナ
これが『literally me』か…

ここまで見てきたように『literally me』のキャラクターたちは、何かが欠けていて、救いを探し求めていて、暗い生活の中を苦悩しながら生きています。

そんなキャラクターたちに人々が自分を重ね合わせて共感を覚えるというのは、今がどんな時代なのかを象徴する1つの指標となっているのでしょうか?
もしくは人類が常に抱く普遍的なテーマなのかもしれません。

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