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アニメから学ぶ「You are a natural.」の意味と使い方とその語源

© 2004 Studio Ghibli・NDDMT
https://www.ghibli.jp/works/howl/より引用

You are a natural.」という表現があります。直感的に「あなたは自然だ」と訳してしまいそうですが、本当の意味は違います。

実は「才能があるね」と伝える表現なのです。

なぜそんな意味になるのでしょうか?またどういう時に使えばいいのでしょうか?

今回は英語版の『ハウルの動く城』と『だがしかし』にこの表現がでてくるので、実際のシーンから抜き出して紹介してみます。

実際のシーンで確認

それでは実際のシーンで確認してみましょう。

※英語吹き替え音声より。日本語訳は意訳。

ハウルの動く城

物語の冒頭、ハウルとソフィーが出会い、空中で歩くシーンです。
ソフィーは戸惑いながら初めて挑戦するにも関わらずうまくできたため、ハウルがそれを褒めます。

© 2004 Studio Ghibli・NDDMT
https://www.ghibli.jp/works/howl/より引用
ハウル
ハウル
Now straighten your legs and start walking.
足を伸ばしてあるき始めて。

See? Not so hard, is it?
ほら?そんなに難しくないだろ?

You are a natural.
君は才能あるね。
※日本語セリフ:上手だ

straighten
[動詞]まっすぐにする

だがしかし4話

ほたるとココノツが目隠しで「ふがし」の銘柄を推測するシーンです。
ココノツが目隠しをしながらでも見事銘柄を当てることができたので、ほたるがそれを褒めます。

© コトヤマ/小学館
『Dagashi Kashi: Season One』より引用
ココノツ
ココノツ
The texture is firm, but it still melts in my mouth.
食感はしっかりしているけど、口の中でとろける。

Fugashi by Kagiya!
鍵屋のふ菓子だ!

ほたる
ほたる
That’s right! You’re a natural, kid!
正解よ!才能あるわね!
※日本語セリフ:正解よ!さすがココノツ君!

texture
[名詞]歯ごたえ、手触り、生地

firm
[形容詞]しっかりした、硬い

解説

You are a natural.」は「何かをするのに練習や努力をすることなくうまくできる=生まれつきの名人ということを表現します。

Longman英英辞典では下記のように定義されています。

be a natural
to be good at doing something without having to try hard or practise
努力や練習なしに何かをすることが上手なこと

出典:Longman

一言で言うなら「才能がある」「天性の才があると考えて良いでしょう。

また、単純にほめていると捉えて「さすがだね」「すごいね」くらいの意味に捉えても良いかもしれません。

例.
People think I am a natural, but I’ve had to work at it.
人々は私が天性の才をもっていると考えているが、実は真剣に取り組まなければならなかった。

She is a natural at chess.
彼女は生まれながらのチェスの名人だ。

ここで注意なのですが、冠詞である「a」を必ず忘れないことです。

「a」がつくことでnaturalが名詞としての意味を持ちます。

natural

[名詞] 生まれつきの名人

[形容詞]自然の、自然界の、自然のままの、生まれつきの、天性の、気取らない等

naturalを「a」をつけずに用いると、形容詞的な意味を持ってしまいます。

つまり、You are natural.だと「あなたは自然的だね」となって、全く違う意味となってしまいます。

しかし、形容詞的な意味のnaturalのあとに何か職業などを持ってくると「あなたは生まれながら〜の才能があるね」という意味にすることができます。

例.
You are a natural poet.
あなたは生まれながらに詩人だね(詩人の才能があるね)

ここではnaturalが形容詞的に使われていますが、冠詞「a」はいずれにせよ必要になります。
ここでの「a」はpoet(詩人)という名詞のために存在する冠詞だからです。

「才能あるね」と言いたい時は、名詞的に用いる場合も、形容詞的に用いる場合も、必ず「a」を忘れないようにしましょう。

語源は?

naturalの名詞的意味である「才能がある」について、その語源を調べてみるとOnline Etymology Dictionaryというサイトに以下のような記述を見つけました。

“person with a natural gift or talent,” 1925, originally in prizefighting, from natural (adj.).
But an older sense is almost opposite to this, “half-wit, idiot” (one “naturally deficient” in intellect), which was in use 16c. to 19c. In Middle English, the word as a noun meant “natural capacity, physical ability or power” (early 14c.), and it was common in sense “a native of a place” in Shakespeare’s day. Also in 17c., “a mistress.”

「生まれつき才能を持った人」という意味は、naturalの形容詞の意味から1925年のボクシングの懸賞試合で使われた。
しかし昔の感覚では今とほとんど異なっており、「まぬけ、バカ」(知性が「生まれつき不足した」人)という意味で16世紀から19世紀は使われた。
中世のイギリス人の間で、naturalは名詞として「うまれつきの能力、肉体的能力や力(14世紀初頭)」を意味するようになり、またシェイクスピアの頃には「地元の人」を意味した。さらに17世紀には「女主人」なども意味した。

出典:Online Etymology Dictionary

こちらによれば、語源はnaturalの形容詞的意味である「自然の」や「生まれつきの」などから来ていると書かれていました。

しかし16世紀から19世紀では今とほとんど反対の意味である「バカ」と使われていたというのは意外ですね。

日本語では、どこかふわふわとした抜けている人のことを「天然」と言いますが、まさにその感覚に近かったのではないでしょうか。

時代が変われば言葉の意味も変わっていく…

言葉の不思議な魅力を改めて認識しました。

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